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怖い話・・・残穢 [読書]

少し前に紹介した「残穢」ですが、少し前に読了した。
・ブログ「残穢と鬼談百景」

残穢

残穢

  • 作者: 小野 不由美
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/07/20
  • メディア: 単行本


なんというか、不気味な本だった。
この本は、同時発売の「鬼談百景 (幽BOOKS)」とリンクしている。こちらは百物語形式(99話)で、【こういった怪異の話を集めている作家が、ふと首を突っ込むことになったヤバイ話】が本編「残穢」だ、という形式だろうか。

同時に読んだほうが楽しめるが、しかし、必ずしも必要なわけじゃない。独立して十分に楽しめる。

さて、残穢だが、すごく怖いという盛り上がりがあるわけではない。主人公は作者そのものなのだが、あくまで冷静に、淡々と怪異について調べていく。やがて、その怪異は土地に染み付いたものなのではないか、というところにたどり着くのだが、大きな盛り上がりがあるわけじゃないのに、なんだかうすら怖い。


作中では、主人公(というと違和感があるな)たちは怪異の元を辿って、その土地について調べていくのだが、この方法というのは、私もよくやるものである。

私は別に怪異を探りたいわけではなく、あくまで歴史・民俗について知りたいがための調査なのだが、そこで時折、いわゆる異常“そうな”話というのに突き当たることがある。

そんな時、私は深くは首を突っ込まない。それ以上を知ろうともしない。潔く諦める。


何故か。

怖い上に、めんどくさいからだ。


ちなみに、私はスピリチュアル的なものや、霊的なものを信じているわけではない。はっきり言って、信じていない。しかし、恐怖は感じるのである。
そして“何かがある”と言われているものの場合、その“何か”の正体について、たとえ仮説レベルでさえも推測の立たない場合、触れるのは危険だと判断する。

「あそこに行くと不幸になる」の原因が、霊的なものなのか、或いは有害なガスが発生しているのかもしれない。ともかく、何かがある可能性はあるのだ。


さて、残穢はほぼノンフィクションの形をとっている。完全なノンフィクションであれば、小説にする必要はない。だからおそらく、フィクションなのだろうと思う。一部分か、全てかはわからないが。

興味深かったのは、こういった怪異の話の中には、書けないものがあるという話。全ては書けない。なぜなら、書いてしまうとヤバイから。非常にヤバイらしい。だから一部を封印(書かない)しないと、書けない。その代表例が、「新耳袋―現代百物語〈第4夜〉 (角川文庫)」に掲載されているらしい。
新耳袋―現代百物語〈第4夜〉 (角川文庫)

新耳袋―現代百物語〈第4夜〉 (角川文庫)

  • 作者: 木原 浩勝
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2003/06
  • メディア: 文庫


どの話か気になるだろうが、それは残穢に書かれているので、ちゃんと自分で読んで確認してほしい。さて、こういった書けない話もあるということであれば、本書・残穢も、そういった意味合いで小説という形式に変えているのかもしれない。

・・・とは穿ち過ぎか。

書けない、語れない、そういう話がある、という。
これについても、霊的なものを信じないという私は、それでもやはり、私自身も書きたくないし、語りたくもない。

やはり、何かがあるのだろう。

触れるな危険、ってわけだ。

2000年代の名作SF小説に、「虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)」という作品がある。若い日本人作家が書いたものだが、作者が急逝してしまったことが悔やまれる、重厚な作品だ。

ここに、読んだり目にすることによって人々を虐殺へと傾ける、「虐殺の文法」なるものが登場する。

それのように、まるで催眠術のように、或いは食物を体に摂取するように、言葉を脳に摂取することで、人体と精神に害をなす、一連の文法があるのかもしれない。


逆に、私は思うのだが、魔を払うというお経や、或いは護符の類というのも、それ自体に効果があるわけではなく、一連の作法によって自らを強く持つことに効果があるのではないか、とそう感じている。

こんな書き方はアホっぽいかもしれないが、明るく元気になる歌を大声で歌っていれば、怖さを吹き飛ばせる。恐怖とは、それ自体が呪であり、呪は恐怖に己自身が囚われることではないか、と思うのだ。


とかなんとか、いろいろと書いているが、そういった悪あがきを凌駕する大きなケガレに、本作では行き当たる。そのケガレはまるで伝染病のような性格をもち、止むことを知らない。

こんなんに遭遇してしまったら、すごく嫌だな。

日本人に特有のケガレ思想や、本作と似たような話、或いは本作でも触れられている怪異の持続期間など、いくつか触れたい話はあるのだが、またの機会にしよう。

とりあえず、この猛暑の夏、肝を冷やしたいのなら、外の危ない世界に行く前に、本書で存分にどうぞ。
残穢

残穢

  • 作者: 小野 不由美
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/07/20
  • メディア: 単行本



鬼談百景 (幽BOOKS)

鬼談百景 (幽BOOKS)

  • 作者: 小野不由美
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2012/07/20
  • メディア: 単行本



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サンフランシスコ人

11/12 木原浩勝がサンフランシスコの日本町に来ました...
by サンフランシスコ人 (2016-11-17 02:42) 

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